アイワナビーユアドッグ

夢は既に終わったものもあるけどね

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円城塔烏有此譚

いきなり二だし、それなのに二は二ではないとか書いてあるし末高って誰? 人間でいいのか?と思ったりして最初こそ戸惑ったものの、意外にもすらすらと読み進められた。途中で注に作者が入ってきた時点で、え、もしかしてまたpale fire系?とか思ってしまったけどそういうがっちり重厚に構築された物語ではなかった。注のなかにも注があるのはいかにもハイパーリンクって感じで、むしろふだんのネットサーフィン(死語)と同じ感覚で読めたし、こういうのは好き。その注のなかの注の位置があれ?と思うとこが一箇所あったのはわざとなのかな……。
謎な部分にかんする説明はいっさいないし、しょうじき終盤とかわけわからないと言えばわけわからないけど、こういうことが言いたいんだろうなみたいなフィーリングは感じ取れた。けっこういい意味でしょうもな〜みたいなとこもあってそれがよかったな。緑のエピソードとかはもっともっと掘り下げようと思えばできそうでもったいないなと思ったけど、そういうキャラクター性を追求しない作風ってことか。。ていうか円城塔って中国史が好き?なんですね。なんか意外だった。
ところで、作中いや注中にcomplexとcomplicatedは違うみたいなことが書いてあって、前者が可逆圧縮で後者が非可逆圧縮だと注者は言ってるんだけど、まさに難解なことと複雑なことは違うよなとか考えていたところだったのでちょっとびっくりした。ちなみにそれはわかりやすいことには力があるが個人的にはあまり魅力を感じないとかそういうことを考えていたときのこと。