アイワナビーユアドッグ

夢は既に終わったものもあるけどね

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フーベン・フォンセッカ『あけましておめでとう』江口佳子訳

いきなり高級住宅街で強盗をはたらくかなり暴力的な表題作から始まったので、あぁずっとこんな感じだったらきついなぁ、、、と思ってたがその次の「孤独な心」はなかなかおもしろくて持ち直した。ほぼすべての話がバッドエンド?というか、後味悪い話なんだけど、グロいはずの描写もなんか淡々と描かれてる感じがした。だいたいの話でひとが死ぬし、食人とかも出てくるんだけど、なんか全体として淡々としてる。とはいえどの話も印象違うし、伊坂幸太郎大先生よりも()リーダビリティ激高ですらすら読める。
好きな話、前述の「孤独な心」はめずらしく心あたたまる?話だし、「選手権大会」は下品さがかなりしょうもなくてシュール。「帆船カトリネッタ号」はまさにこういうイヤミス(? ミステリーではないが……)あるよねって感じ。「七十四段階」は最初なにが書いてあるのか意味わかんなくて混乱したのだけど、一段落のなかに複数の視点が混在してるんだって気づいたらなるほどとなった。これは実験小説的かも。最後の「大腸」はなんとなく自己言及的というか、自分を皮肉ってる的な作品なのかな? なんか蛇足な気がしなくもないが。解説によるとフーベン・フォンセッカは長編も書いてるようなのだけど、推理小説らしいのでどうしようかなあというところ。でもそもそも邦訳ないよな。