アイワナビーユアドッグ

夢は既に終わったものもあるけどね

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円城塔『文字渦』

期待を裏切らずおもしろかったあああ!!!! 文字にまつわる独立した短編集とみせかけて、じつはほぼすべての話がつながり合っている。もちろんそれぞれの話自体もおもしろいのだけど、まったく関連のなさそうだった話題が再登場してくるときの興奮よ。「森林朋昌」が出てきた瞬間はここできたーーー!!?!!ってなったもんね。
なんといってもやはり境部さんのかっこよさです。って円城塔をキャラ萌えで語るとか、これだから女子供は〜って言われそうな発言。。でもでも、人を喰ったような発言とか、飄々とした物腰、へんてこなソフトウェア? いやハードウェア? を作り出してしまうところなどに河村さん(あたしが現在夢中になっているyoutuberです、、、)みがあってすてきなのですよ。とか思って読んでいたら、まさに"ふ"の変体仮名にある三つ巴みたいな部分の話とかでてきて、それ変体仮名クイズでみたああああああ!!!!!!!とおもわず叫んでしまった。。。笑
現代?の境部さんは女性だけど、境部石積としても登場してきてそれも正体不明感に拍車をかけててかっこいい。「幻字」なんて小栗虫太郎ばりのペダンティック推理小説として始まるのに、途中からわけわからない世界に突入し(そもそも殺人事件ではなく殺字事件という時点で、、だけど)、脱力するオチへたどりつくのが好きすぎる。まぁ、解決もある意味小栗虫太郎っぽいけど。あと、文字を変換してみたいなくだりではむかし流行った特定の文字列を入力してwingdingsにフォント変えるとメッセージが!!みたいなのも思い出した。
説文解字とかunicode問題とか、はたまた源氏物語とか阿弥陀経とかの見慣れたキーワードからよくもまあこんな発想をひっぱってくるなと思うのだけど、なるほどSFおたくってふだんこういう楽しみ方してるのかしら。タイトルからし中島敦からとっていると思うのだけど(しかも最初まったく同じタイトルなんだと思ってて、しばらく気づかなかった……)、といって『文字禍』は読んだことないんだが、もともと変な漢字とか漢字にかぎらず特殊文字とかに惹かれる身としてはそういうくすりとするポイントも多くて楽しめた。ハード文字SFってかんじ? あくまで漢字とかなの闘い(おっとねたばれ)がテーマだったから、変形アルファベットとかもしくは絵文字とか(これもunicodeにあるからね)をテーマにしたらどんな話が生まれるんだろうとかも気になった。